音楽の不思議

音楽というのは本当に面白いもので、西洋音楽を例にとっても、たったの12の音を使ってこれほど膨大な数の曲がクラシックの長大なものから簡単な楽曲まで、よくもまあ違う曲としてできるものだと感心します。ただ、メロディーの要素だけではなく、それにリズム、和声と複雑に絡み合ってくるので、様々なタイプの曲ができるのだと思います。

アントニオ・カルロス・ジョビン(注)というブラジルの国民的作曲家&演奏家の曲に「ワン・ノート・サンバ」という有名なボサノバの曲がありますが、この曲は題名どおり最初の16小節は一つの音が同じリズムパターンでずっと続きます。楽譜が無いので、原曲の調性は今ちょっと思い出せませんが、たとえばわかりやすくハ長調でいうと最初の音が「ソ」でソッ、ソッ、ソ、ソッ、ソッ、ソ、~~~~~~と続いて次にやっと4度上の「ド」に上がってまた「ソ」に戻ります。だから、厳密に言うとこの16小節は二つの音が出てくるので、One Noteではなく、Two Noteなんですが、転調したと考えると一つの音だけといえます。その後は一変してアドリブのフレーズをそのままメロディーにしたようなむずかしい旋律が出てきます。

で、何が言いたいのかというと、こんな単音が続く曲なのに、とても印象的なメロディーに聞こえるのは音楽の魔術ということなんでしょうね。


こちらの動画はローリンド・アルメイダという名ギタリストとMJQ(モダン・ジャズ・クァルテット)の競演。素晴らしい演奏です。

(注)アントニオ・カルロス・ジョビン
ブラジルの作曲家、編曲家、ピアノ奏者で、ジョアン・ジルベルトという歌手兼ギター奏者と共にボサ・ノバという音楽の生みの親とされています。ボサノバとは英語でいうと「new mode」という意味でブラジルに昔からあったサンバにモダンジャズの複雑な和声を組み合わせたとても洒落た音楽です。
ジョビンは数々の名曲を世に送り出していますが、もっともポピュラーな曲は皆さんも知っていると思いますが「イパネマの娘」です。

ボサノバって実に耳あたりが良くて、BGMでもよく流されたりしますが、水面下ではなかなかにすごいことをしています。あれが独特の雰囲気を醸し出すんですね。普通の伴奏ギターのコードなども結構複雑です。多くのジャズメンがよくボサノバの曲を演奏するのはそういう面白さもあるからだと思います。

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