ビル・エヴァンス「PIANO PLAYER」を聴く

今回はちょっとマニアックなビル・エヴァンスのアルバム紹介です。
ビルを聴きはじめて、良さがわかってきたくらいの人にはあまりおすすめ
というアルバムではありません。

しかも、この記事管理人の別サイトにアップした「アート山荘の1日」
という軽いエッセイに書いたものの転載です。さすがにこのアルバムの
中の曲をYouTubeにアップした方はいなかったようで、今日は試聴は無しです。
悪しからずご了承ください。

最初の数曲は、実験的なアレンジをするので有名な「ジョージ・ラッセル」の
オーケストラに加わっての演奏。
2曲目はビルがマイルス・デイビスのバンドに参加していた頃、
ニューヨークの「Plaza Hotel」でのライブ演奏。
この頃のマイルスのトランペットはいつ聴いても緊張感がある。

しかし、ここのホテルのピアノはいただけない。調律はしっかりされているが、
ピアノが相当古い感じで、弦が伸びきっているような音だ。
きちんと調律されたホンキートンクピアノといえばわかるだろうか。
ビルの演奏はいつもどおり素晴らしいが、これではビルが可哀想だ。

以前、山下洋輔氏が自分のエッセイで「他の楽器の奏者はたいてい自分の愛用の
楽器でどこに行っても演奏できるが、ピアニストは楽器を選ぶことができない。
会場へ付くまでどんなピアノかわからない。
それでも何とかやっつけなくちゃならないんだ」みたいなことを書いておられましたが、
本当にそのあたりピアニストというのは大変だと思う。
もっとも、ミケランジェリ(※注)のように自分の愛用のピアノをどこへ行くにも運ばせた、
なんてすごい人もいたけど、こんなことが許されるのは極々稀な人。
たいていのピアニストはいろいろな「ピアノ」を弾かなくちゃなりません。
ご苦労様です。

3曲目と4曲目はヴァイヴ(ヴィブラフォン)のデイヴ・パイクとのコラボアルバム。
このデイヴ・パイクと言う人。上手いんだけど、演奏中にうなり声を発する。
私は演奏中にうなり声を出す人はどうも苦手で、これだけでいい演奏でもあまり
聴く気がしなくなってしまう。

5曲目~11曲目は最後の1曲を残してすべてベースのエディ・ゴメスとのデュオ。
ビルにしてはいつになくリラックスしたほのぼのとした演奏だ。
時々ビルのエレクトリック・ピアノも入るが、ビルの音楽人生でこの
エレクトリック・ピアノだけは不要だったんじゃないかなぁ、
と私はいつも感じる。まあ、本人はいろいろやってみたいのはわかりますけどね。

(※注)アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(Arturo Benedetti Michelangeli,
1920年1月5日~1995年6月12日)イタリアの大ピアニスト。その素晴らしいテクニックと音楽性は20世紀のクラシックピアニストの中でも群を抜いていたが、その完璧主義から公演のキャンセルや、調律師も気がつかないようなピアノの鍵盤の部品の付け間違いに気が付くなど、ピアノに対する素晴らしい感覚や、完璧主義者ゆえのユニークなエピソードがいろいろある。

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