ダニー・ボーイ聴き比べ

前記事に続いてキース・ジャレットが出てきますが、今回は、ビル・エヴァンスとの競演・・・ではなくて、お二人のソロピアノの聴き比べです。もちろんどちらの演奏が上とか下とかそういう低いレベルの聴き比べではありません。たまたま見つけたキースの演奏する「ダニー・ボーイ」とビルの演奏する「ダニー・ボーイ」があったので、ちょっと感じたことを書いてみました。

キースの演奏は2002年の東京公演のライブ演奏、ビルのほうは1962年のスタジオ録音。約40年の時の隔たりがあります。まず、お二人の演奏を聴いてみて、と言ってもビルのほうは管理人のCDコレクションにあるので、以前から何回も聴いているので良く知っています。

この「ダニー・ボーイ」という曲。原曲はよく知られたアイルランドのフォークソング。素朴なこの曲が、こんなに素晴らしい曲によみがえってしまうのですから、う~ん、やはりこのお二人の音楽的感性と技量は素晴らしいという他ありません。この曲、こんなに良い曲だったっけ?!というのがまず驚きの感想です。

あまり解説してしまうと先入観が発生してしまうので、まずはお二人の演奏を聴いてみましょう。

キース・ジャレットの「ダニー・ボーイ」

ビル・エヴァンスの「ダニー・ボーイ」

キースの演奏もビルの演奏も、単調さを避けるためか何度か転調をくりかえします。キースのほうが、計算された編曲というか、殆どアドリブらしいアドリブも入らないですし、クラシックの1小品のような音楽作りがされています。ただ、素晴らしいのは1音たりとも無駄と思える音が、無いように感じます。両手で組み合わされた和音の響きのなんと美しいことか・・・・・感嘆してしまいます。

ビルの演奏は、最愛のベーシスト、スコット・ラファロを事故で失い意気消沈していた頃の演奏ということですが、この頃は一時期ベーシストが見つからずピアノ・トリオの演奏はしていなかった時期です。そんな背景もあるのか、自分のために弾いているピアノという感じがします。ビルの演奏のほうが、ジャズのマインドを感じさせる演奏で、5分を過ぎたあたりから、ジャズらしいアドリブも入ります。キースの演奏とは違い、ビルにしては聴衆を意識しないリラックスした演奏という感じも受けます。ただ、当たり前に流して弾いているような部分もありますが、これはまさにビルの音、ビルの世界です。今から50年近くも前の演奏ですが、少しも古さを感じさせません。このあたりはさすがという他ありません。

これは管理人の勝手な想像ですが、キースはこのビルのソロピアノを聴いて触発された部分もあるのではないかと思います。(ちょっと似ている部分もある)お二人の演奏を花に例えると、キースのほうは、丹精込めて咲かせた大輪の牡丹、ビルのほうはパッっと咲いてはかなく散ってしまう桜のような気がします。

蛇足ですが、キースのこの演奏でも管理人の苦手な「うなり声」聴こえないですね。とても聴きやすいです。

それにしても、キース・ジャレットというピアニストは単にジャズピアニストという1カテゴリーでは語れない、素晴らしいピアニストになりましたね。ビルはもう少し長生きして、さらにもっと自分の音楽を追求して欲しかった・・・残念ですが、こればかりはどうしようもないことですね。

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