ジェリー・マリガンと「Night Lights」

ジェリー・マリガンといえば、真っ先に思い浮かぶのが、アルバム「Night Lights」
これまでのイーストコーストを中心とした黒人ジャズメンの演奏する、ジャズというイメージを一新したアルバムです。

ジェリー・マリガンについて簡単に略歴を記しておきます。

アメリカ、ニューヨーク生まれ
作・編曲家、バリトンサックス奏者、クラリネット奏者、ピアニスト
1927年4月6日~1996年1月20日
そうなんですもう故人なんですが、68歳という若さで逝ってしまいました。

若い頃からギル・エヴァンスやマイルス・デイヴィスといった革新的な音楽家と一緒に仕事をしていて、20代にはすでに洗練されたアレンジをする編曲家として名前を知られるようになりました。

マイルス・デイヴィスの話題作「クールの誕生Birth Of Cool」にも参加してバリトン・サックスの演奏と作曲なども手がけています。当時のモダンスタイルのビッグバンドの代表的なバンド、スタン・ケントン楽団にも編曲を提供しています。いかに若くしてその音楽的才能が認められたかということが良くわかりますね。

その後、ジャズでは珍しいピアノレスのグループを結成、変拍子ジャズのテイク・ファイヴで有名な、デイブ・ブルーベックやモダン・ピアノの異端児といわれているセロニアス・モンクらと親交を深め、ウェスト・コーストジャズの基を作った人とも言われています。

ちょっと長くなってしまいましたが、そんな彼の代表作が今日ご紹介する
「Night Lights」です。ここでマリガンはこのアルバムのタイトル曲でもある「Night Lights」ではサックスは吹かないでピアノを弾いています。出だしの4つのシングルノートを聴いただけでとても印象的な曲ですが、全編静謐な雰囲気が漂い、それでいておしゃれなとても良い曲です。マリガンのピアノも音数は少ないもののとても趣味の良いピアノ演奏で才能のある人は何をやらせても上手いものだなぁ・・・と改めて感心してしまいます。

この曲のマリガンのピアノを聴いていると、そんなにシャカリキにならなくたって、「もっとリラックスして音楽を楽しもうよ」というメッセージが聞こえてくるような気もします。

またこのアルバムのメンバーがとても良いのです。既存のフレーズは絶対に弾かないぞという意思さえ感ずる個性的なギターを弾くジム・ホール。ピアニストのビル・エヴァンスとの素晴らしいコラボアルバムもありますね。(いずれ紹介したいと思っています)「Night Lights」では、本当に控えめに絵画に最後に塗るアクセントの色のようなギターを聴かせてくれます。

このアルバムでもう1人どうしても語らなければならない人がいます。

管理人の大好きなトランペッター、アート・ファーマー。いつ聴いても歌心あふれる素晴らしい演奏を聴かせてくれるトランペッターです。余談ですが、このアート・ファーマーという人。ものすごく人柄の良い人だったということです。麻薬禍に喘いでいたマイルスを物心両面から支えた話は有名ですが、その高潔でヒューマンな人柄はミュージシャン仲間からも尊敬の念を集めていました。そんな暖かな人柄は彼の音楽にも現れているような気がします。
ちょっと見、シカゴギャングのボスのようなこわもての顔ですが、目は優しい目をしています。人は見かけで判断してはダメですよ(~o~)

アート・ファーマーはフリューゲルホーン奏者としても一流で後年はフリューゲルホーンを吹く時のほうが多かったようです。フリューゲルホーンはトランペットと音域は同じものが多いんですが、トランペットより深みのあるふくよかな音がする楽器です。まさにアートの人柄を表すような楽器ですね。

ついでに、またまた余計なことをいうと管理人のHNは実はこのアート・ファーマーと、大好きなサックス奏者アート・ペッパーの名前を気持ちだけお借りして(笑)アート(芸術)が好きなので、Artenrichと名乗っています。他のサイトでは単にアートとも名乗っています。

話が脱線してしまいましたが、このアルバムの3曲目に入っている、「In The Wee Small Hours Of The Morning」メロディーの美しいとても良い曲です。この曲のマリガンのバリトンサックスはなんというか、このどでかい楽器を上手く制御して歌心たっぷりに歌い上げています。このアルバム屈指の名演と言っても良いと思います。
このサックスと言う楽器、バリバリとダイナミックに吹くほうが易しいのです。このマリガンのように押さえた美しい音色で、この楽器を発明した人の意図したところの正しい音を出そうとするほうが格段に技術を要します。

続くアート・ファーマーのフリューゲルホーン(よく聴くとトランペットかも?)も暖かみのある素晴らしい演奏で聴き惚れてしまいます。この後続くジム・ホールのギターのなんと繊細で個性的で、それでいて美しいフレーズを聴かせてくれることか・・・とにかく皆さん素晴らしい演奏です。

この曲、色々な歌手の方も歌っています。フランク・シナトラも歌っていますが、管理人はジョニー・ハートマンの歌が特に好きです。

4曲目に入っている「Prelude In E Miner」はご存知の方も多いかもしれませんが、原曲はショパンの24の前奏曲の中の1曲。短い曲ですがとても陰影のある名曲です。管理人はこの原曲が大好きで、ショパンのピアノ曲にしては演奏技術はさほど難しくないので、若い頃自己流でよく弾いていました。この原曲の良さを知ってしまっていると、このボサノバ風アレンジはちょっと・・・・・という感じもしますが、別な曲と割り切ってしまえば面白く聴けると思います。

またこのアルバム全体を通して、エンディングテーマのバリトンサックス、トランペット(フリューゲルホーン)、トロンボーンの3声の絶妙なハーモニーも編曲者としてのマリガンの非凡な才能を垣間見せてくれます。

いつものように大分長くなってしまいましたが、「Night Lights」聴いてください。このブログにも名前の出てくるジャズヴォーカリストの「若生りえ」さんも最近ブログで夏の夜にピッタリの曲として紹介されてましたが、この曲と夜とお酒は、ちょっとはまりすぎという感もありますね。

【Gerry Mulligan – Night Lights】


おまけです。

In The Wee Small Hours Of The Morning/ジョニー・ハートマン

In The We Small Hours Of The Morning
In The Wee Small Hours Of The Morning
by Bob Hilliard/David Mann

In the wee small hours of the morning,
While the whole wide world is fast asleep,
You lie awake and think about the girl
And never, ever think of counting sheep.

When your lonely heart has learned its lesson,
You’d be hers if only she would call,
In the wee small hours of the morning,
That’s the time you miss her most of all.

この曲に関しては、このジョニー・ハートマンの歌唱が一番良いような気がします。

関連する記事

「ジェリー・マリガンと「Night Lights」」への2件のフィードバック

  1. 夜の深い淵に吸い込まれそうです 最高の癒されます 明日からの活力の為に

    1. 見ていただいてありがとうございます。
      確かに癒されますよね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です