グレン・グールドとロマン派

グレン・グールドといえば、「バッハ」というくらい彼のバッハの鍵盤音楽の演奏には定評がありますが、グールドはなぜか多くのピアニストが必ず一度はチャレンジするロマン派の作曲家、ショパンの曲は演奏会でも弾くことはなかったし、演奏会を止めてから以降もレコーディングすることはありませんでした。

なぜか?グールド自身の言葉によれば、ショパンは感情過多で好きではないと言っていたようですが、確かにロマン派の曲というのは情緒的に流れすぎる嫌いはあります。管理人はショパンは嫌いではありませんが、こちらの気分であまり聴きたくない時もあります。

極端なことをいうと日本の演歌などと共通する、これでもかと言うくらい感情を吐露するものがあるんですね。ちょっと例えが悪かったかもしれませんが、逆に考えるとグールドの感性はどちらかというとショパンなどに近かったのかもしれません。自分の感性と近いものを人は嫌うという一面もあります。

ゆえに、バッハをあれほど敬愛していたのかもしれません。
ショパンもバッハの音楽をこよなく愛していた、ということを何かの本で読んだことがあります。

話を戻しますが、グールドが唯一ロマン派の作曲家の作品を録音したのは
ブラームスだけです。この1枚のアルバムは、ブラームスのピアノのために書かれた、バラードとラプソディと間奏曲を集めたものですが、これはグールドの少ないロマン派の演奏の中でも、極めて素晴らしい演奏です。
(他にあれば管理人の調査不足です。悪しからず)とこの記事を最初に書いた時は思っていましたが、実はなんと!グールドの弾くショパンの公式な録音があったんですね。まだ聴いたことはありませんが、ショパンの「ピアノソナタ第3番」です。いやぁ、ちょっと驚きです。

グールドは音楽の内面性を重視し、ピアニスティックで派手な演奏をしなかった人ですが(このことが彼が演奏会を止めてしまった理由のひとつだと思われます。)このブラームスの作品集でも、ブラームスのちょっと抑制された、重厚でいて、馥郁としたロマンの香りのする作品を見事にグールドの歌として昇華している気がします。

ブラームスの作品を弾いたピアニストの中ではこのブラームスのピアノ曲集は最高のものではないかという気がします。とりあえず1曲聴いてください。

【Brahms-Intermezzo Op.117-1】

曲の冒頭の内声部の主旋律がとても美しい曲です。ブラームスのピアノ作品のなかでは、小品ですがとても素晴らしい曲だと思います。この叙情的な曲をグールドは淡々とそれでいて感動的に歌い上げています。

余談ですが、グールドは生前「ジャニス・ジョップリンがエレベーターで流れてきたら耐えられないだろうと」言ったということを読んだことがありますが、ペトゥラ・クラークに対しての論考を書いたりして、ポップミュージックを全否定していたわけではないようです。要するにわがままで、好き嫌いの激しいアーティストであったといえばそれまでですが、そういったことを越えて彼のピアノの演奏は素晴らしいものがあります。

グールドは生前、ビル・エヴァンスのアルバムを何枚か所有していたらしいですが、ビルの透徹した感情に流されないリリシズムはグールドの耳にも心地よく聴こえたのでしょうか・・・・・

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