【ポートレイト・イン・ジャズ】ビル・エヴァンス・トリオ

少しでもジャズを聴こうと思った人なら、知らない人はいないとも言える、ジャズのピアノトリオ演奏の定番中の定番。しかも傑作アルバムです。黒人のファンキーなピアノが好きと言う人にはあまり好かれていないかも知れませんが、そういう好みの問題は別にしてこのアルバムはピアノ・トリオというスタイルのひとつの新しい形を作ったともいえる、記念碑的な名盤です。

若くして夭折してしまった天才ベーシストスコット・ラファロとのインタープレイが特に有名ですが、そもそもベースと言う楽器はいわゆる縁の下の力持ち的な役割だったのを、ラファロはソロ楽器としてピアノと対等に演奏したということが、このアルバムを有名にしたひとつの要因ではありますが、そういうことも含めてビルのピアノも溌剌としており、変な言い方ですが、結構抽象的なアドリブを展開します。

そういう意味では、このアルバムと双璧をなすビル・エバンス・トリオ初期の傑作「ワルツ・フォー・デビー」のほうが、ずっと親しみやすい演奏と言えます。私事ですが、ロック&ポップスばかり聞いていた管理人の弟に学生の頃初めて当サイトでも紹介しているオスカー・ピーターソン「We Get Requests」を聴かせたら、すごくわかりやすくて喜んで聴いていましたが、次にこのビルの「Portrait in Jazz」を聴かせたら「難解で少しも良さがわからない」と言ったのが印象に残っています。確かに「枯葉」のちょっと変?ともいえる急速調の演奏や、ある意味このアルバムは特殊なアルバムかもしれません。

またこのアルバムの演奏が、この後に出てくるチック・コリアやキース・ジャレットなどのピアニストにも絶大な影響を与えたということもすごいことだと思います。視聴はディズニーの映画音楽などを多く手がけた作曲家のフランク・チャーチルの名作「Someday My Prince Will Come」邦題は「いつか王子様が」を聴いてみましょう。

【Someday My Prince Will Come】Bill Evans

いつも思うんですが、このビルの素晴らしい演奏を現代のクリアな音で録音されていたら、もっと素晴らしいものになると思うんですが、こればかりはどうしようもないですね。1959年12月の録音ですから、今から53年前の録音。でも、このちょっと時代を感じさせるアナログ的な音も味わい深いといえるのかもしれません。

蛇足ですが、このアルバムジャケットのビルの写真が、なんともまじめくさった感じで面白いですね。

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