あこがれのワルツ

少し前に書棚にある楽譜を整理していたら、クリアファイルの中にいろいろなコピーした楽譜が出てきました。その中にあった楽譜の1枚がタイトルのところが破れていて、作曲家?の名前だけが分かりました。かの有名なベートーヴェンなんですが、ちょっと弾いてみました。昔、大人になってから少しだけ習った時に弾いたことがあったようです。聴き覚えのあるとても綺麗な曲でした。

ベートーベンの作曲によるものなのか、ちょっと気になったので、いろいろと調べてみました。すると分かったことは、ベートーヴェンがシューベルトのワルツのメロディとヒンメルという作曲家の曲を使ってどうも即興的に編曲したもののようです。ヒンメルという作曲家はベートーヴェンと同時代に著名な作曲家であったフンメルと名前が良く似ていますが、別人で、フリードリッヒ・ハインリヒ・ヒンメル( 1765年11月20日 – 1814年6月8日)という今ではほとんど忘れられている作曲家です。ベートーベンの生年が1770年とされているので、ほぼ同世代の作曲家だったということですね。

とても綺麗な曲ですが、シューベルトのあこがれのワルツはほぼ同じメロディですが、演奏を聴いてみるとどの演奏もかなり早いテンポです。自分では、少しゆっくりと弾いてみました。稚拙な演奏ですがYouTubeにアップしています。とても綺麗な曲なので、興味をもたれた方はぜひ聴いてみてください。

あこがれのワルツ

フランス組曲-J.S.Bach

フランス組曲はバッハの作品の中では繊細で優雅な香りのする名曲です。それもそのはずと言うのもおかしいですが、バッハの二人目の奥さん「アンナ・マグダレーナ」のために書いた練習曲集の中にこのフランス組曲の中の何曲かが入っています。バッハの妻への愛情が感じられる作品ということも言えます。

フランス組曲というのはバッハ自身が付けたものではなく、後の人が命名したものですが、フランスというイメージにぴったりという感じもします。曲の構成はアルマンドやクーラント、サラバンド、ジーグといったこの時代の組曲に定型化された舞曲の形式がとられていますが、それぞれに小品でありながら味わい深い曲が、例えが悪いですが、ぎっしり詰まったとても食べ応えのある美味しいスイーツの詰め合わせという感じがします。

それぞれにとても良い曲が多いですが今日は2番のアルマンドとこのフランス組曲の中では最もポピュラーでピアノを弾く人でもバッハの作品のなかではかなり良く弾かれている5番のアルマンドをご紹介します。当時の鍵盤音楽の作品はまだピアノがなかった時代なので、オルガンかチェンバロかクラヴィコード(今のピアノに近い楽器)と楽器の指定があるものもありますが、このフランス組曲には特に指定がありません。

ただ、クラヴィコードを念頭に書かれた作品という気がするので、現代のピアノで弾いても全然違和感がありません。チェンバロで弾いた演奏も聴いたことがありますが、曲の可憐さが失われてちょっと重たい感じになってしまうと感じました。

バッハが現代に蘇ってこの曲をどの楽器で演奏しますか?と尋ねたら・・・きっと「ピアノで」と言うに違いないと思います。

最初の動画は2番のアルマンド。短調の曲ですが、なんというか心に染みわたるとても良い曲です。二つ目の動画はほぼ全曲入っている動画ですが、最初に5番のアルマンドが入っています。この5番のアルマンドは昔管理人もよく弾いていました。とても美しいメロディで典雅に流れるような音のつづれ折という感じの作品です。

バッハといえばこの人です。そう「グレン・グールド」この人のバッハのピアノ演奏はどれを聴いても素晴らしいです。

フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813-アルマンド


以下~クーラント~サラバンド~Air(エール)~メヌエット~ジーグ

フランス組曲 第5番 ト長調 BWV816

ショパン 24の前奏曲 op.28

ショパンの24の前奏曲といえば、シューマンなどは小品の寄せ集めのような評価をしていたようですが、管理人的にはこの曲はショパンの作品の中でも際立ってリリカルな作品だと思っています。

平均律の全ての長調と短調の曲が24曲あり、バッハに傾倒していたショパンにとっては念願の作品でもあったようです。最初にこの曲を全編聴いたのは「クリストフ・エッシェンバッハ」のピアノによるものでしたが、素晴らしさに胸を打たれました。ほとんどが短い作品ですが、可憐な小品から重厚な音作りをしたものまで色々あります。特に最初に印象的だったのがop.28-4 ホ短調の前奏曲。ピアノを弾き始めた管理人が、この曲なら弾けそうと思って実際にピアノで音を出してみてビックリ!・・・こんな短い曲なのになんて素晴らしい曲なんだ・・・と思いました。技術的には難しくないので、すぐに弾けるようになりましたが、微妙に移り変わる左手の内声部、トップのメロディラインもクライマックスの部分を除いては音の跳躍のない静的な音ですが、陰影に富んだ素晴らしいものです。

この曲、以前このサイトで紹介したジェリー・マリガンというジャズのバリトン・サックス奏者の傑作アルバム「Night Lights」を紹介した時にも少し取り上げましたが、ショパンの曲に関しては、ピアノで演奏しないと曲の良さが損なわれてしまいます。ショパンという人は、ピアノという楽器が持つ特性や響きを知悉していた稀有な作曲家で、ピアノという楽器がどう音を並べると良い響きになるのかということを感覚的に身に付けていた作曲家だと思っています。だからショパンのピアノ曲は他の作曲家のピアノ作品よりもペダルの使い方も難しいのではないかと思います。

余談ですが、ジャズピアニストでピアノの響きというものに研ぎ澄まされた感覚を持っていたのがビル・エヴァンスだと思っています。クラシックファンの人もまだ聴いたことがなければ、ビルのピアノは聴いて欲しいと思います。ジャズはちょっと・・・と言う人はソロピアノのアルバムから聴いたほうが良いかもしれませんね。クラシックの音楽家の中にもビル・エヴァンスの愛好家は沢山いて、かのグレン・グールド氏もビルのアルバムを所有していたようです。

話が横道にそれてしまいましたが、この作品28の前奏曲、ショパンの作品の中では、絵に例えると練習曲集やバラードなどは油絵の具を何層も重ねた重厚な油絵という感じですが、24の前奏曲は透明水彩で描きながら、細部まで緻密な描き方をした作品というイメージです。ショパンの作品は駄作というものは少ないですが、この前奏曲集はおすすめの作品のひとつです。管理人が最初に感銘を受けた4番の前奏曲聴いてください。またまた下手くそですが自分で演奏した動画に貼り替えました。絵はかの有名なドラクロワが描いたショパン像です。ショパンという人物の内面まで表現されているような素晴らしい絵ですね。

Frédéric Chopin – Prelude in E-Minor (op.28 no.4)

【弦楽のためのアダージョ】サミュエル・バーバー

サミュエル・バーバーという作曲家の名前は知らなくても、この曲は耳にしたことのある人も多いのではないかと思います。ジョン・F・ケネディの葬儀でもBGMに使われたことのある曲です。

こんなに叙情的な曲なのに、なぜか、葬送の曲みたいに葬儀などで使われることが多いので、作曲者のバーバー自身が不満を抱いていたのも無理もないと思います。あまりに荘厳な感じがするのがイメージ的にそういう使われ方をしてしまうのではないかと思います。

管理人はいつも思うのですが、たいていの人は音楽を純音楽的に聴かないで、その曲のもつ雰囲気や感じ方をビジュアル的に捉えたり、そのときの自分の置かれている状況やそれに伴う感情などと一体化して聴いてしまう傾向があるので、この曲が葬儀に使われたりしちゃうんですよね。ちょっと言いたいことが上手く表現できませんが、「音楽は純粋に音楽として聴こうよ」ということです。もちろん、聴き方は人それぞれ自由ですから、これはあくまでも管理人の音楽に対するアプローチを言ったまでです。

弦楽器(ここでは弓で弾く弦楽器のことを言っています)というのは、他の楽器が入らないと、独自の音の渦が生み出されるような気がします。ただ、弦楽4重奏のように各楽器の個性が明確に出る編成の場合は、弦の持つ独特の荘厳さは出ないと思いますが、この曲のように、かなりの数の弦楽器が集まると、特殊な音世界が拡がる感じがします。弓で弾く楽器は撥音が無くなるからかもしれません。

管理人の感想としては、この曲を始めて聴いた時、ぞくっとくる戦慄を感じたのを覚えています。そのくらいこの曲はインパクトのある曲だと思います。弦楽のためだけに書かれた曲では最高傑作の部類に入ると思います。

今日はN饗の演奏で、演奏は良いのですが、音が悪いのが難点。

【弦楽のためのアダージョ】サミュエル・バーバー

サミュエル・バーバー(Samuel Barber、1910年3月9日 – 1981年1月23日)は、米国の作曲家。
現代作曲家の中では、ロマン的な情緒をたたえた作品を多く書いたことで知られています。聴衆の前ではあまり演奏することはなかったようですが、ピアニストとしても卓越した技量を持っていたと言われています。

Samuel Barber-Adagio for Strings
良い音で聴きたい人はこちらからどうぞ。
レナード・バーンスタイン指揮のニューヨークフィルの演奏です。素晴らしい!

ゴールドベルク変奏曲-Goldberg-Variationen

バッハの鍵盤曲の中では特に有名ですが、異色でもある作品です。難解な作品と言われますが、とてもチャーミング(?)なアリアを最初と最後に配し、間はいくつかの低音主題をもとにした変奏曲からなるちょっと特異な曲とも言えます。この作品の創作背景のエピソードとしては、当時バッハの音楽の生徒であった、ヨハン・ゴットリーブ・ゴールドベルクという人が、不眠症に悩んでいたカイザーリンク伯爵の睡眠導入剤的な効果を狙ってバッハに依頼したという話が有名ですが、この曲を真剣に聴きはじめたら眠くなるよりは覚醒してしまう・・・・・というくらい素晴らしい曲です。聴きこめば聞き込むほど味わい深い名曲です。

この曲の演奏といえば、なんといってもこの人は無視できません。管理人もこの人の演奏を聴いてこの曲の素晴らしさを知りました。そうグレン・グールドです。グールドのレコードデビューはこの曲だったんですね。

因みにゴールドベルク変奏曲というキーワードでネット検索をすると数ページにわたってグールドとの絡みで出てきます。それくらいグールドとこの曲は切り離せません。では、とりあえずさわりだけでも聴いてください。「最初のアリア~第10変奏・・・最後のアリア」までです。管理人の個人的好みでは、やはりデビュー盤の1955年の録音の演奏が好きです。

ゴールドベルク変奏曲-Goldberg-Variationen【グレン・グールド】

素晴らしい!