アランフェス協奏曲

数少ないギターのために書かれた本格的な協奏曲。作曲者はスペインのホアキン・ロドリーゴ。この人の代表作です。曲は3楽章から成り、特に第2楽章の哀愁のあるメロディーは有名です。ギターという楽器はかなり表現力のある楽器なのですが、いかんせん音量が無い。ゆえにジャズやロックの世界ではピックアップ(楽器の弦の真下に付いているマイク)で音を拾い、これをアンプで増幅するいわゆるエレクトリックギターが一般的になっています。

但し、クラシックの場合は、生音重視のためそのまま演奏されることが多いですが、オケの音量に気を使ったりしてかなり大変なようです。管理人が思うにクラシックだからといって生のギターにこだわらずに、マイクで増幅するなり、ジャズで使うようなピックアップ付きのフルアコースティックギターを使用すれば良いと思いますが、このあたりが悪く言えば、クラシック音楽の世界の偏狭さとも言えます。

この第二楽章は多くのジャズミュージュシャンがいろいろな編曲をしてとりあげています。先進的な編曲家のギル・エヴァンスとマイルス・デイビスの共作の「スケッチ・オブ・スペイン」が特に有名ですね。他にはMJQやギタリストのジム・ホールなどもとりあげています。

今日はちょっと変わった演奏で、クラシックギターの多重録音で聴いてみましょう。ギター2台のための編曲と同じですが、シンプルでわかり易く、原曲の雰囲気を残したとても良い編曲だと思います。演奏も素晴らしいです。この1人二重奏を弾いているギタリストの馬部雄進さん、管理人の友人の叔父さんです。

【魅惑のアランフェス 第二楽章/馬部 雄進】

スペインの風景を写した動画もとても綺麗ですね。

名曲とイメージダウン

ショパン作曲の「24の前奏曲集」管理人も大好きなとてもよい作品です。
この曲集については、詳しく解説したいので今日はあまり詳しく書きませんが、この中の7曲目に珠玉のような小品があります。

イ長調、作品28-7という曲です。

クラシックを殆ど聴かない人でも、この曲を聴けば、あっ・・・と思う人も少なくないと思います。どうしてか?この曲かなり昔から、某医薬品メーカーの胃腸薬のCMのBGMに使われているんですね。とても良い曲なのに、なにかちょっとイメージダウンしてしまいます。クラシックの曲は著作権も無いし、使用するのは自由だと思いますが、なんだかねぇ・・・・という気もします。

この曲は以前もお話しましたが、大ピアニストの「ウィルヘルム・バックハウス」が音楽の絶妙な花といってセレクトした25曲の中にも入っています。ジェームス・ハネカーという19世紀後半から20世紀初頭にかけて優れた音楽評論を残したアメリカの音楽評論家はこの曲を【マズルカ風で自然な踊りの影絵】と評しています。まさにこの表現がピッタリの曲です。

音楽だけを純粋に聴いてみてください。素晴らしい曲です。

【Ivo Pogorelich Chopin Prelude Op 28 No. 7 】

エドワード・マクダウェル「野ばらに寄す」

エドワード・マクダウェルという作曲家、特にクラシック音楽ファンではないと知らない人も多いかもしれません。MacDowellという綴りからもわかるように両親がスコットランド系とアイルランド系の移民でした。19世紀末のアメリカを代表する作曲家、ピアニスト、後にコロンビア大学の教授も務めました。

今日はそのマクダウェルの作曲した「森のスケッチop.51」というピアノ小曲集の中から「野ばらに寄す」という小品をご紹介します。マクダウェルの作風はロマン的な情緒を湛えたものが多いですが、この作品も小品ながらとても美しい曲です。その昔「ウィルヘルム・バックハウス」(注)という大ピアニストが「難しくなくて美しい作品が沢山あるのに、何故難しいものを求めるのだろうか。野原一杯に美しい花が咲いているのに、何故、樫の木から花束を作ろうとするのだろうか」と言った事があります。勿論これはアマチュアのピアニストに向けての言葉だと思いますが、バックハウス自身がかつて「絶妙な花」と呼んだ25曲のピアノ作品があります。その中にこのマクダウェルの「野ばらに寄す」も入っています。

管理人も昔、成人してからピアノを習い始めた頃、バイエルなどはそっちのけで(一応バイエルは苦もなく卒業しましたが)自己流で色々な曲を弾き始めました。この曲も最初に弾いたいくつかの曲のひとつだったような気がします。技術的には易しい曲ですが、美しい和音の重なりや微妙に変化する内声部の動きなど、とても感銘を受けました。大曲だけが音楽ではない・・・・ということを身に沁みて感じる珠玉のような作品だと思います。

(注)ヴィルヘルム・バックハウス(Wilhelm Backhaus)1884.3.26~1969.7.5
ドイツ生まれ(後にスイスに帰化)の大ピアニスト。卓抜した技巧の重厚な音楽を作るヒアニスト。ベートーヴェンの直系の弟子として、ベートーヴェンの解釈には定評があり、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番は、バックハウスの最も愛奏した曲のひとつです。またベーゼンドルファーのピアノを好んで弾いたことでも有名です。