ビル・エヴァンスのソロピアノとアルバム「Alone」

ビル・エヴァンスはピアノ・トリオというフォーマットである意味完成した音楽を構築した人ですが、ピアノソロでも独自の世界を作り上げた人です。それまでジャズの世界ではソロピアノっていうとピアニストの余興・・・とまでは言いませんが、それほど重要視されてはいませんでした。

確かにソロで飽きさせずにアドリブをするということも難しいですし、ソロピアノでそれだけのものを表現できる技術や感性を持ったピアニストがいなかったということも言えると思います。オスカー・ピーターソンのようなビルトーゾ的テクニックの持ち主はいましたが、本格的なピアノソロ演奏というのは取り組んでいなかったようです。(後にピーターソンもピアノ・ソロのアルバムを出しています)

ビルはこのアルバムで、原曲の持つ良さを十分引き出したビル独特の美しい編曲でテーマを奏で、その後各フレーズが覚えられるような印象的でメロディアスなアドリブを展開しています。どの曲も美しく、かつ緊張感のある演奏で素晴らしいの一言に尽きます。ビルはこのアルバムで音楽界のアカデミー賞ともいえるグラミー賞を受賞しています。

このビルの「Alone」をコピーして完全に楽譜に表し、それをそのまま弾いたクラシックピアニストがいます。CDも出ていて、私も興味があって購入してみましたが、なぜかやっぱりピンときませんでした。ビルの演奏にかなり近いのですが、やはりダメですね。ジャズというのはアドリブまで楽譜に書いてしまうと、もうジャズではなくなってしまうようです。ビルのこのアルバムのピアノ演奏には静謐な
中にもエモーションが感じられて聴く人の心を打つのです。

アルバム【Alone】の中から「Here’s That Rainy Day」です。
Johnny Burke作詞、Jimmy Van Heusen作曲の名曲です。

この後チック・コリアやキース・ジャレットといった次世代のピアニストが多くのピアノソロアルバムを発表し、キース・ジャレットに至っては、有名なケルン・コンサートでは延々長時間に亘るソロ演奏を行っています。個人的にはキースのソロはちょっと飽きますけどね。余談ですが、キースのあのうなり声がちょっと苦手。あれがなかったらキース・ジャレットってもっと好きになれるピアニストなんですが・・・・・

ビルのピアノソロアルバムは他にも何枚か持っていますが、どれも素晴らしく、私の愛聴盤です。