Bill Evans-「I Will Say Goodbye」

今日は名盤紹介です。
ビル・エヴァンス・トリオのI Will Say Goodbye

以前から知っていたアルバムなんですが、なぜか持っていませんでした。
ついこの間手に入れて、初めて聴きました。少し前に紹介した「You Must Believe In Spring」に雰囲気がとても似ているアルバムです。演奏は、もちろん!素晴らしいです。しかも、このアルバムの選曲がとても良いのです。

冒頭のI Will Say Goodbyeをはじめとして、ミシェル・ルグラン、ジョニー・マンデル、アール・ジンダーズ、といったエヴァンスお気に入りの作曲家の作品に加えて、ハービー・ハンコックやバート・バカラック、オスカーハマーシュタインⅡ、スティーブ・スワロウなど管理人も大好きな作曲家の作品ばかり。ビルのオリジナルも1曲入っていますが、これもなかなかの秀作。

ビルのピアノは晩年の録音になって音質も大分良くなってきているので、ビル本来の透徹した美しいピアノ演奏スタイルが100%伝わってくるような気がします。晩年の傑作アルバムだと思います。「You Must Believe In Spring」はちょっと寒さが伝わってくるようなアルバムでしたが、こちらはもう少し温かみを感じさせてくれるアルバムです。

それにしても、ため息の出るような美しくも素晴らしい演奏です。なんでこんな素晴らしいピアノを弾ける人が早死にしてしまったのかと思うと残念でなりません。でも、こうして素晴らしい演奏をかなり多く残してくれたので、こうして聴くことができるのは本当にありがたいと思っています。

試聴はタイトルにもなっているミシェル・ルグランの「I Will Say Goodbye」ルグランの曲って本当に良い曲が多いですよね。管理人も大好きです

Bill Evans Trio -【I Will Say Goodbye】

余談です。バート・バカラックと書いて変換したらバーと馬鹿ラックと変換された(笑)ホントPCってバカですね^^;

Joe Pass-「Unforgettable」

最近、ジョー・パスの記事が多いですが、改めて彼がとてつもなく素晴らしいギタリストであるということを再認識しました。つい先日パスの「Unforgettable」というアルバムを購入しました。有名なスタンダード曲をガットギターのソロで演奏しているものですが、ギター1本でこれだけ弾ける人はこの人をおいていないのではないかと思います。

ジョー・パスが管理人のギターをすっと手に取り、自分の前で弾いてくれているような・・・そんな親近感と贅沢な感じの味わえる演奏です。全編バラード調の曲が多いですが、適度な緊張感もあり本当に素晴らしいです。パスは自分のことを生涯「ギターの芸人」なんて言っていましたが、パスこそ真のアーティストだと思います。ちょっと余計なことを言いますが、日本のアイドル歌手やニューミュージック系の歌手などを、テレビ番組などで紹介する時に「今日出演のアーティストは・・・・」などと言っていますが、彼らをアーティストなんていうのはちゃんちゃら可笑しいですよね。と、今日はちょっと辛辣なことを言ってしまいました。

ジョー・パスは、ジャズ・ギターソロの可能性を広げた稀有なギタリストと言えるのではないでしょうか。クラシック系のギタリストもこのパスの演奏を完全コピーして楽譜に興せば弾けるとは思いますが、それでは全然面白くないのです。パスは弾きながら自然にアドリブもできるし、その時の状態で同じ曲を弾いても違ったものになるはずです。以前ビル・エヴァンスのソロピアノを完全コピーして同じように弾いたクラシックピアニストがいましたが、やぱり、どこか面白くないのです。ジャズはコピーしたものはもうジャズではなくなるような気がします。

このアルバム「Unforgettable」管理人の愛聴盤のひとつになりそうです。ギターが好きな人、クラシックギターの愛好家にもぜひ聴いてほしいアルバムです。

【Unforgettable】-Joe Pass

Joe Pass-Unforgettable

1. My Romance
2. Very Thought of You
3. I Cover the Waterfront
4. Isn’t It Romantic?
5. Walkin’ My Baby Back Home
6. Autumn Leaves
7. ‘Round Midnight
8. I Should Care
9. Unforgettable
10. Don’t Worry ‘Bout Me
11. Spring Is Here
12. Moonlight in Vermont
13. April in Paris
14. Stardust
15. You’ll Never Know
16. After You’ve Gone
17. I Can’t Believe That You’re in Love with Me

アルバムに収録されている曲も超有名曲ばかり、こんなアルバムが1,000円しないなんて、
すごく得した気分です。

ギター・ソロというのはちょっとジャズでは特殊な世界。ジョー・パスがいかに優れたジャズギタリストであるか、ちょっとギターという楽器をやったことがある人ならわかる超素晴らしいベースとドラムスの入ったトリオによるライブ映像を貼っておきます。曲はビリー・ストレイホーンの名曲サテン・ドールです。コードが入る演奏の箇所では右手は指で弾き、ホーンライクな急速調の力強いアドリブをする時にはピックに持ち替えたり、しかも、ピックをポケットから出す間も左手の指でタッピングをしながら音繋ぎ・・・!もう、縦横無尽、自由自在です。途中でわざとデタラメフレーズを弾いて、観客を笑わせたり、まさにギターの芸人+ギターの芸術家です。もう、故人なので、こういう貴重なライブ映像が見られるのは本当にありがたいですね。

【Satin Doll】- Joe Pass Trio

♣link: サテン・ドールと作曲者のビリー・ストレイホーンについての詳しい解説は本ブログにもたびたび登場するジャズボーカリストで訳詩もされている若生りえさんのブログもご覧になってみてください。

【Satin Doll】- Joe Pass

You Must Believe In Spring-Bill Evans Trio

You Must Believe In Spring・・・・・このアルバムはビルの作品の中ではひときわ美しさの精緻を極めた演奏だと思います。あまりに美しすぎてクリスタルのような冷たさが伝わってきます。アマゾンのこのアルバムについてのレビューが40あまりあったのですが、そのレビューのほとんどがその美しさを絶賛するものばかりなのには驚きました。しかし、ただ単に美しいだけではなく、「美」とは何か?と問われるアルバムでもあるような気がします。

このアルバム全編を通して感じる冷たさは何なのでしょうか?美とは毒をはらんだもののような気もします。ビルのこのアルバムを感傷的という人もいますが、感傷的なものというのはもっと甘くて世俗的な感じのするもののような気がします。このアルバムのビルのピアノは精緻な静寂をともなった破壊への感情が(変な日本語表現ですが)見事なまでにピアノで表現されているような気がします。

エディ・ゴメスのベースもこのビルのピアノにぴったりと寄り添う感じで、その正確なピッチと卓越したテクニックがこのアルバムの完成度を高めています。ビルのアルバムの中でも管理人はこのアルバムが大好きですが、人によっては聴く時を選ぶアルバムかもしれません。管理人はこのような能書きを垂れますが、音楽を聴くときは、純粋に音楽だけ聴いてしまうので、いつでもOKです(笑)

【You Must Believe In Spring】-Bill Evans

いや~、いつ聴いても素晴らしい!

この曲ミシェル・ルグラン作の曲ですが、ミシェル・ルグランって本当に良い曲書きますね。

Meets The Rhythm Section-アート・ペッパー

今日は久しぶりに、ジャズの名盤紹介です。

ジャズを聴く人でこのアルバムを知らない人はいない・・・というくらいの超有名盤です。1957年当時最強のリズム隊と言われた、マイルス・デイビスのリズムセクションに単身乗り込んで、大暴れ?したのがこのアート・ペッパーの傑作アルバムです。

因みにこのリズムセクションのメンバーは次のとおりです。

レッド・ガーランド(piano)
ポール・チェンバース(bass)
フィーリー・ジョー・ジョーンズ(drums)

当時イーストコーストで主に活躍していたジャズメンはほとんど黒人。しかもその黒人達の意識の中にはジャズこそは黒人の生み出した音楽だ・・・などというちょっと偏った意識もあったようです。ジャズは白人のヨーロッパ音楽の基(もとい)が無くては存在しなかったということを置き去りにしていたようなところもありますが、それくらいイーストコーストでは黒人ジャズミュージュシャンの力が大きかったということです。

その中に入って一人の白人アルトサックス奏者が、バリバリと吹きまくったのがこのアルバム。「白人にもスゲ~奴がいる」と言ったとか言わないとかそんな驚きの声も上がったくらい、ペッパーのサックスは素晴らしいです。その軽やかさと力強さ、バラードの歌心あふれるフレーズ、どれも取っても素晴らしいです。アート・ペッパーと言う人はとてもタンギングの強い吹き方をする人で、メリハリのある演奏はその辺りにも出ているんですね。

今日はアルバムの冒頭の曲。以前紹介したコール・ポーターの名曲「You’d Be So Nice To Come Home To」を聴いてみましょう。インストルメンタルでこの曲の演奏では最高クラスの名演だと思います。

「アンダーカレント」ビル・エヴァンス&ジム・ホール

このアルバムが最初に発売された当時、湖?の水面下に女性が浮かぶジャケット写真がかなりセンセーショナルでしたが、このアルバムの演奏は、このジャケット写真の特異性を凌駕する素晴らしい内容です。

そもそも、ピアノとギターという楽器は、音域はピアノの方が圧倒的に広いものの、両者とも発音的には似ている楽器。ピアノは打弦楽器でギターは撥弦楽器という違いはありますが、音色的には近いものがあります。こういう楽器どうしのデュオというのはちょっと考えもつかなかったんですが、多分ジャズ界でも初めての試みではなかったかと思います。

しかも、ビル・エヴァンスとジム・ホールという当時の第一級の演奏家のコラボとあっては誰しもが期待したものですが、まさに期待を裏切らない素晴らしい演奏です。

1曲目の「My Funny Valentine」この曲は普通、バラード調のゆっくりとしたテンポで歌い上げるものという常識を、完全に覆した編曲。いきなりアップテンポでビルのピアノがテーマを奏で始めます。それにジム・ホールのギターが複雑にからみます。ホールのアドリブソロの部分では、ビルのピアノのバッキングもビルには珍しく打楽器的にゴンゴンと弾いています。

ビルのアドリブソロに入り、急テンポでもオリジナリティーのある美しいアドリブソロを聴かせてくれます。途中からジム・ホールはベースライン(ベース)と和音(ギター)リズム(ドラムス)と3役を1台のギターで表現してしまうような、素晴らしい、超絶技巧のギターを披露してくれます。この頃になるとビルのアドリブも益々テンションが上がり、まさに丁々発止という感じです。

【My Funny Valentine Bill Evans & Jim Hall】

このアルバムは、ジム・ホールというギタリストのすごさを再認識させられた、といっても良いアルバムです。ジム・ホールという人は以前にも書きましたが、ありふれた、どこかで聴いたようなフレーズは殆ど弾かないという稀有なギタリストです。ジャズのアドリブの勉強のひとつに、最初は常套句のフレーズを覚えるということがあります。そこから自分のスタイルに発展していくのですが、結構有名プレイヤーでも似たようなフレーズを聴くことがあります。ホールは独特のセンスのアドリブフレーズを弾くうえに、このアルバムで見せてくれた超絶技巧!本当に素晴らしいギタリストですね。

勿論このアルバムでのビルの演奏も素晴らしいのですが、ホールのギターとの競演ではなかったらこんな傑作アルバムは生まれなかったと思います。My Funny Valentine の演奏があまりに衝撃的だったので、皆さんこの演奏に触れることが多いですが、他のバラード演奏も叙情的でありながら、甘さに流れない素晴らしい演奏ばかりです。

【Romain】

ジム・ホールのオリジナル曲ですが、ビルのピアノアドリブのところではホールがコードを弾き始めると、ビルはあえて左手は和音を弾かないでベースラインを弾いています。曲もホールらしい個性的な良い曲ですが、ロマンティックで美しい中にも緊張感のある素晴らしい演奏です。

このアルバム、聴きこむほどに素晴らしさ、すごさがわかる名盤です。
おすすめ!