Joe Pass-「Unforgettable」

最近、ジョー・パスの記事が多いですが、改めて彼がとてつもなく素晴らしいギタリストであるということを再認識しました。つい先日パスの「Unforgettable」というアルバムを購入しました。有名なスタンダード曲をガットギターのソロで演奏しているものですが、ギター1本でこれだけ弾ける人はこの人をおいていないのではないかと思います。

ジョー・パスが管理人のギターをすっと手に取り、自分の前で弾いてくれているような・・・そんな親近感と贅沢な感じの味わえる演奏です。全編バラード調の曲が多いですが、適度な緊張感もあり本当に素晴らしいです。パスは自分のことを生涯「ギターの芸人」なんて言っていましたが、パスこそ真のアーティストだと思います。ちょっと余計なことを言いますが、日本のアイドル歌手やニューミュージック系の歌手などを、テレビ番組などで紹介する時に「今日出演のアーティストは・・・・」などと言っていますが、彼らをアーティストなんていうのはちゃんちゃら可笑しいですよね。と、今日はちょっと辛辣なことを言ってしまいました。

ジョー・パスは、ジャズ・ギターソロの可能性を広げた稀有なギタリストと言えるのではないでしょうか。クラシック系のギタリストもこのパスの演奏を完全コピーして楽譜に興せば弾けるとは思いますが、それでは全然面白くないのです。パスは弾きながら自然にアドリブもできるし、その時の状態で同じ曲を弾いても違ったものになるはずです。以前ビル・エヴァンスのソロピアノを完全コピーして同じように弾いたクラシックピアニストがいましたが、やぱり、どこか面白くないのです。ジャズはコピーしたものはもうジャズではなくなるような気がします。

このアルバム「Unforgettable」管理人の愛聴盤のひとつになりそうです。ギターが好きな人、クラシックギターの愛好家にもぜひ聴いてほしいアルバムです。

【Unforgettable】-Joe Pass

Joe Pass-Unforgettable

1. My Romance
2. Very Thought of You
3. I Cover the Waterfront
4. Isn’t It Romantic?
5. Walkin’ My Baby Back Home
6. Autumn Leaves
7. ‘Round Midnight
8. I Should Care
9. Unforgettable
10. Don’t Worry ‘Bout Me
11. Spring Is Here
12. Moonlight in Vermont
13. April in Paris
14. Stardust
15. You’ll Never Know
16. After You’ve Gone
17. I Can’t Believe That You’re in Love with Me

アルバムに収録されている曲も超有名曲ばかり、こんなアルバムが1,000円しないなんて、
すごく得した気分です。

ギター・ソロというのはちょっとジャズでは特殊な世界。ジョー・パスがいかに優れたジャズギタリストであるか、ちょっとギターという楽器をやったことがある人ならわかる超素晴らしいベースとドラムスの入ったトリオによるライブ映像を貼っておきます。曲はビリー・ストレイホーンの名曲サテン・ドールです。コードが入る演奏の箇所では右手は指で弾き、ホーンライクな急速調の力強いアドリブをする時にはピックに持ち替えたり、しかも、ピックをポケットから出す間も左手の指でタッピングをしながら音繋ぎ・・・!もう、縦横無尽、自由自在です。途中でわざとデタラメフレーズを弾いて、観客を笑わせたり、まさにギターの芸人+ギターの芸術家です。もう、故人なので、こういう貴重なライブ映像が見られるのは本当にありがたいですね。

【Satin Doll】- Joe Pass Trio

♣link: サテン・ドールと作曲者のビリー・ストレイホーンについての詳しい解説は本ブログにもたびたび登場するジャズボーカリストで訳詩もされている若生りえさんのブログもご覧になってみてください。

【Satin Doll】- Joe Pass

ジョー・パス

「ヴィルトーソ」イタリア語で卓越した演奏技術をもつ演奏家のことを
言いますが、まさにこの言葉にふさわしいギタリストが、ジョー・パスです。
管理人の最も好きなギタリストです。

有名な方なのでご存知の人も多いと思いますが、世界の音楽界の中でも屈指
のギタリストだと思っています。クラシックギターの達人は音楽のジャンル
が違うのでちょっと比較にはなりませんが、ジャンルを越えて素晴らしいギタリストです。

超絶技巧に音楽性を兼ね備えています。この人のギターを聴くとそれ程の技巧を感じないのは、当たり前のように本当リラックスして弾いているからなんですね。こんなにすごい人なのに少しも尊大なところがなく、自分のことを生涯「ギターの芸人」と言っていたそうです。
残念ながらもう故人です。

とりあえず、1曲聴いてみましょう。

「All the Things You Are 」オスカー・ハマーシュタイン&ジェローム・カーンという名コンビの作になる有名な曲ですがコード進行が面白く、
頻繁に転調をくりかえす曲なので好んでジャズ系の人が演奏する曲です。

【Joe Pass – All the Things You Are 】

マニアックになりますが、映像付きで見たおかげで発見したんですが、
彼は右手はクラシックギターのように指で弾いてるんですね。
(ジャズやロックは通常ピックで弾く人がほとんどです)驚きました!
だからあの複雑な演奏ができるのだと納得。
途中で超高速のアドリブになるとピックに持ち替えてますが、
それにしてもすごいなぁ・・・と驚嘆しました。
しかも、あのグローブのように大きい左手。あの奏法はあの手の大きさが
ないとできないという気もします。

こちらは、ギター1本、ソロギターによる演奏です。有名な「枯葉」
この曲もジャズミュージュシャンの名演が多いですが、とてもシンプルで
十分なテクニックに裏打ちされた、それでいてテクニックをひけらかす
ことの無い抑えた、音楽性の高い名演だと思います。

【Autumn Leaves – Joe Pass】

ジョー・パスをこれから聴く人のために、最初に聴いてほしいのが
「FOR DJANGO」

ジョー・パスのアルバム「FOR DJANGO」のジャケット写真

ジャズファンにはよく知られている名盤ですが、伝説的なジプシージャズギタリスト「ジャンゴ・ラインハルト」のトリビュートアルバムです。

意外なことなんですが、パスのギターの原点はジャンゴ・ラインハルトなんですね。9歳の頃からクラシックギターを学んでいたパスですが、彼が、ジャズギターにめざめたのもこのジャンゴ・ラインハルトの弾くドビュッシーの「雲」でした。こんな風に弾けたらと毎日磨り減るまでレコードを聴いてコピーしたとのことです。

全編を通してヨーロッパの雰囲気が漂う、素晴らしいアルバムです。
ドビュッシーの「雲」もありますし、MJQのジョン・ルイスの不朽の名作
「DJANGO」も、パスの自作「FOR DJANGO」も素晴らしい演奏です。

コール・ポーターの名曲「Night And Day」はパスのヴァーチュオーゾ
としての面目躍如ともいえる名演。一糸乱れぬアドリブプレイは
さすが!とうならせてくれる演奏です。

このアルバム、ピアノレスのギター2台にドラムスとベースという編成
ですが、セカンドギターを弾いているジョン・ピサノの存在も重要です。
パスのギターを盛り上げるべく、終始控えめにコードとリズムを刻み、
このアルバムでの名脇役だと思います。

もう1枚はジョー・パスの名を一躍知らしめた名盤。そのタイトルも
彼に最もふさわしい「Virtuoso」英語読みなので「ヴァーチュオーゾ」
になっていますが、これまでジャズでソロギターの分野に本格的に
取り組んだ人がいなかった上、ギター1本で素晴らしい技術と音楽性を
表現したパスならではの画期的な1枚です。

まだ、聴いたことのない人は「ジョー・パス」聴いてください。
おすすめです。