福村裕子 ピアノ演奏会

先週2014年6月18日 横浜のみなとみらい小ホールで福村裕子さんという方のピアノ演奏会に行った。

もちろんプロの演奏家ではないので、ご存知ないと思いますが、管理人の妻の仕事関係の知り合いの方です。パンフレットの副題が、「音楽療法活動支援のためのチャリティーコンサート」とありました。この方が幼少時からピアノをやられていて、ずっとプロのピアニストの方に個人レッスンを受けていたということは聞いていました。

開演ギリギリ前に行ったのですが、多分観客はお身内の方がほとんどで、ガラガラだろうと思いましたが、席はほぼ満席に近くちょっとビックリ。一番後ろの関係者席の前に座ることになりました。開演のアナウンスがあり、舞台に登場された福村さんを見てまたビックリ、遠目ということがあるにしても、そのお姿はどう見てもご老人には見えません。お歳は75歳になられたということは知っていましたが驚きました。何年か前にお会いしたことがありますが、この時代の女性にしてはとても身長があり、多分167cmくらいはあると思いました。前半ではロングドレスを着ていらっしゃいましたが、その凛とされたお姿どおり、演奏のほうも素晴らしいものでした。

最初の曲はモーツァルトの第9番、K.311番のピアノソナタ。プロの演奏会ではあまり演奏されることはありませんが、ピアノのコンペなどではよく課題曲にされることもある曲ですね。でも、モーツァルト的な美しさは充分に味わえる曲です。さすがに最初はちょっと緊張されている感じはありましたが、だんだんとリラックスされてとても自然な良い演奏だったと思いました。

2曲目。ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中ではちょっと異色の作品ともいえる俗に”テレーゼ”という表題の付いている第24番のソナタ。この曲2楽章しかありません。ただ、なかなかに情緒的で美しい曲で、ベートーヴェンの曲の中では結構好きな曲のひとつです。ベートーヴェンってある部分モーツァル トに似ているところがありますよね。まあ、これはベートーヴェンが影響を受けているのだと思いますが、古典的な美しさもベートーヴェンの特徴だと思います。

前半最後の曲。ショパンのバラード3番です。この曲、ショパンのバラードの中では最もノーブルな感じのする曲で、もちろん技術的にも最上級レベルの曲。華やかでとてもピアニスティックな曲です。プロのピアニストの方が弾かれるテンポよりほんのわずかですがテンポを遅くして弾かれましたがなかなか堂々とした立派な演奏でした。当日妻とは同行していなかったのですが、コンサートの終わった後二人で食事をして帰りました。その時、妻ももっとアマチュア的なピアノ発表会みたいな演奏だと思っていたみたいでしたが、なかなかにすごい演奏だったのでとても感心していました。休憩をはさみ後半に入ります。

後半は、ちょっと変わったプログラムになっていて、プロの打楽器奏者の斎藤祥子さんとプロのピアニストの田村祥子さんとの共演という形です。ラヴェルの「マ・メール・ロア」比較的易しい連弾曲ですが、多分お孫さんの友達なども聴きに来ているのでこういう選曲にしたのかぁ・・・・とも思いました。この頃になるととてもリラックスして弾かれている感じでこちらも楽しく聴くことができました。この後お孫さんの女の子の弾く「トロイメライ」とグノーの「アヴェマリア」が入ります。このアヴェマリア、歌でない場合はヴァイオリンなどで弾かれることが多いですが、今回は斎藤祥子さんのマリンバが主旋律を奏でました。この旋律をマリンバで演奏したもの初めて聴きましたが結構良かったです。息の長い旋律をマリンバで弾く場合はトレモロしかありませんが、これが以外に新鮮でした。

最後はサンサーンスの「動物の謝肉祭」を2台のピアノ用に編曲したものを演奏されました。ここでは斎藤祥子さんのパーカッションも色々入りなかなか面白い演奏でした。

この福村さんの演奏会、先にお亡くなりになっているご主人の福村豊氏の誕生日に合わせたようです。この福村豊氏は本格的に声楽をやられていた方で、声楽家になるか医者になるか迷った末に医者の道を選んだ人だということです。本格的な声楽をやられていた人なので、奥様の音楽の勉強にも深く理解があったようです。今日の演奏会の福村裕子さんも音楽の勉強のためにザルツブルグやウィーンへ行ったり、大好きなべーゼンドルファーのピアノで練習できる環境を作ってくれた福村豊氏にはとても感謝しているとプログラムのコメントにも書かれていました。

福村裕子さん自身も若い頃から福村豊氏の作った医療法人で働き、今も医療法人の理事をされています。社会福祉法人では副理事長の要職にも就かれていて現役のキャリアウーマンでもあります。息子さん二人、娘さん一人いますが、3人ともお医者さんです。音楽好きの家系で、福村豊氏の弟さんはジャンルこそ違いますが、ラテン系のプロのバンドを持っていてそのバンドマスターもしています。こちらの演奏会にも行ったことがありますが、なかなか楽しい演奏でした。

福村裕子さん、すべての演奏が終わってご挨拶をされましたが、その声もとても70代の女性の声には聞こえませんでした。声楽もやっていたからかも知れませんが、とても美しい声で

「この日が近づくにつれて、怖くてしょうがなかったので、最初で最後の演奏会にするつもりでしたが、今日こうやって終わってみたらまたやりたくなってしまいました」

とのご挨拶。(ご本人の弁そのままではありませんが、趣旨はこのとおりです。)大失敗をしたらいざしらず、ある程度自分の実力を発揮できた場合は、このような演奏会をするということは病み付きになるのかもしれませんね。

福村さん、その声も美しかったですが、多分そのお姿も若い頃はさぞや美しかったのではないかと・・・・・。
写真はパンフレットに写っていたご本人の写真です。最近撮られたものでプロの写真家の方に撮影していただいたそうですが、とても若々しいですよね。これからもお元気で仕事とピアノを両立して、また演奏会を開いて欲しいなと思いました。

福村裕子ピアノ演奏会。当日のプログラム
福村裕子ピアノ演奏会。当日のプログラム
福村裕子ピアノ演奏会のパンフレット
福村裕子ピアノ演奏会のパンフレット

フランス組曲-J.S.Bach

フランス組曲はバッハの作品の中では繊細で優雅な香りのする名曲です。それもそのはずと言うのもおかしいですが、バッハの二人目の奥さん「アンナ・マグダレーナ」のために書いた練習曲集の中にこのフランス組曲の中の何曲かが入っています。バッハの妻への愛情が感じられる作品ということも言えます。

フランス組曲というのはバッハ自身が付けたものではなく、後の人が命名したものですが、フランスというイメージにぴったりという感じもします。曲の構成はアルマンドやクーラント、サラバンド、ジーグといったこの時代の組曲に定型化された舞曲の形式がとられていますが、それぞれに小品でありながら味わい深い曲が、例えが悪いですが、ぎっしり詰まったとても食べ応えのある美味しいスイーツの詰め合わせという感じがします。

それぞれにとても良い曲が多いですが今日は2番のアルマンドとこのフランス組曲の中では最もポピュラーでピアノを弾く人でもバッハの作品のなかではかなり良く弾かれている5番のアルマンドをご紹介します。当時の鍵盤音楽の作品はまだピアノがなかった時代なので、オルガンかチェンバロかクラヴィコード(今のピアノに近い楽器)と楽器の指定があるものもありますが、このフランス組曲には特に指定がありません。

ただ、クラヴィコードを念頭に書かれた作品という気がするので、現代のピアノで弾いても全然違和感がありません。チェンバロで弾いた演奏も聴いたことがありますが、曲の可憐さが失われてちょっと重たい感じになってしまうと感じました。

バッハが現代に蘇ってこの曲をどの楽器で演奏しますか?と尋ねたら・・・きっと「ピアノで」と言うに違いないと思います。

最初の動画は2番のアルマンド。短調の曲ですが、なんというか心に染みわたるとても良い曲です。二つ目の動画はほぼ全曲入っている動画ですが、最初に5番のアルマンドが入っています。この5番のアルマンドは昔管理人もよく弾いていました。とても美しいメロディで典雅に流れるような音のつづれ折という感じの作品です。

バッハといえばこの人です。そう「グレン・グールド」この人のバッハのピアノ演奏はどれを聴いても素晴らしいです。

フランス組曲 第2番 ハ短調 BWV813-アルマンド


以下~クーラント~サラバンド~Air(エール)~メヌエット~ジーグ

フランス組曲 第5番 ト長調 BWV816

ゴールドベルク変奏曲-Goldberg-Variationen

バッハの鍵盤曲の中では特に有名ですが、異色でもある作品です。難解な作品と言われますが、とてもチャーミング(?)なアリアを最初と最後に配し、間はいくつかの低音主題をもとにした変奏曲からなるちょっと特異な曲とも言えます。この作品の創作背景のエピソードとしては、当時バッハの音楽の生徒であった、ヨハン・ゴットリーブ・ゴールドベルクという人が、不眠症に悩んでいたカイザーリンク伯爵の睡眠導入剤的な効果を狙ってバッハに依頼したという話が有名ですが、この曲を真剣に聴きはじめたら眠くなるよりは覚醒してしまう・・・・・というくらい素晴らしい曲です。聴きこめば聞き込むほど味わい深い名曲です。

この曲の演奏といえば、なんといってもこの人は無視できません。管理人もこの人の演奏を聴いてこの曲の素晴らしさを知りました。そうグレン・グールドです。グールドのレコードデビューはこの曲だったんですね。

因みにゴールドベルク変奏曲というキーワードでネット検索をすると数ページにわたってグールドとの絡みで出てきます。それくらいグールドとこの曲は切り離せません。では、とりあえずさわりだけでも聴いてください。「最初のアリア~第10変奏・・・最後のアリア」までです。管理人の個人的好みでは、やはりデビュー盤の1955年の録音の演奏が好きです。

ゴールドベルク変奏曲-Goldberg-Variationen【グレン・グールド】

素晴らしい!

ポップスになったクラシック音楽

クラシック音楽が以外に編曲されてポップスになっているのを
ご存知ですか?

最近日本でも、平原綾香の「Jupiter」これはホルストという作曲家の組曲「惑星」の中でも一番有名な「木星」の主旋律に日本語の歌詞を付けたものです。メロディがダイレクト過ぎてあまり良い編曲とは思えませんが、海外作品には原曲の良さを活かして別物のように見事に仕上げた作品がたくさんあります。

今思いつくままに、ポップスになったクラシック音楽をいくつか挙げてみます。

まず有名なところでは、ベートーベンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」の有名な第2楽章の美しいカンタービレですが、これまた有名なビリー・ジョエル氏が「This Night」というタイトルでカヴァーしていますね。

次にこれまたベートーベンのピアノ小品の「エリーゼのために」美しい小品ですが、あまりにポピュラーになりすぎてちょっと手垢のついた曲というイメージがします。ただ、ピアノ作品としては完成度の高い素晴らしい作品だと思います。

原曲の話になってしまいますが、ポップスでいうところのサビの部分、いわゆる展開部などは不協和音の使い方が絶妙でさすがベートーベン先生という感じがします。最初はカテリーナ・バレンテという歌手が歌い、日本ではザ・ピーナッツが「情熱の花」という曲名で歌い大ヒットしました。変ったところではメキシコの「トリオ・ロス・パンチョス」も歌っています。

次は、えーと、ボロディンの歌劇『イーゴリ公』より「ダッタン人の踊り」これは「ストレンジャー・イン・パラダイス」という曲になって、トニー・ベネットの歌が有名ですが、「キスメット」というミュージカルで編曲して歌われたのが最初です。そういえば、ベンチャーズもインストルメンタルで演奏していましたね。

次は、ポンキエッリ 歌劇『ジョコンダ』より「時の踊り」これは、「レモンのキッス」(原題は Like I Do)という曲になり、最初ナンシー・シナトラが歌ってヒットしました。そうそうあの大歌手のフランク・シナトラの娘さんですね。とてもチャーミングな声の持ち主です。日本ではザ・ピーナッツが、カヴァーしました。

話は飛びますが、ナンシーといえば、日本でもヒットした「恋のひとこと」という曲。お父さんのフランク・シナトラとのデュエットなんですが、これがとても上手い。主旋律をお父さんのシナトラが歌って、低いパートをナンシーが歌っています。実際には女声なのでオクターブ上げて低いパートを歌っています。歌の上手さはやはり親譲りでしょうか。

最近日本でも大滝詠一と竹内まりやのカヴァーが出ましたが、正直本家の魅力には全然及ばないという感じです。

最後はやはり御大J・S・バッハです。
「アンナマグダレーナのピアノ小品集」の中からメヌエット。こちらは「Lovers Concert」という題名になりサラ・ボーンの歌で大ヒットしました。ジャズの世界では知る人ぞ知るという大歌手のサラでしたが、この曲のヒットでポップスシーンでも有名になりましたね。

この「Lovers Concert」原曲とはかなり違うものになっています。このあたりの編曲はやはり海外のアレンジャーは上手いです。ロマン派の曲と違ってバッハの曲は感情的な色付けが無く純音楽的な要素が強いから、料理しやすいということもあるんですけどね。

バッハの原曲とサラの歌、聴き比べてみてください。

まだまだ沢山ありそうですが、今私が思いついたのはこのあたりです。