フリードリッヒ・グルダと音楽の垣根

フリードリッヒ・グルダといえば、20世紀を代表する巨匠といえるピアニストですが、今日は、このグルダと音楽のジャンルについて、管理人の思うことを書いてみたいと思います。

グルダを知ったのは、管理人が大人になってからピアノを習い始め、ベートーベンのピアノ・ソナタの演奏をグルダのピアノで聴いたのがきっかけです。もちろん生ではなくレコードです。グルダというと「ジャズなどもやっていたちょっと変わったピアニスト」という認識の人も多いかもしれませんが、それくらい彼がジャズにはまっていたということなんだと思います。グルダがジャズ演奏をするというのを知ったのは、グルダのベートーベンを聴いた後でしたが、へ~、マジでジャズをやるピアニストもいるんだと感心しました。もちろんグルダの弾くベートーベンも素晴らしく、感動しました。

1970年代にはグルダは本当にジャズに転向しようと思った時期もあるらしいんですが、周囲の強い反対もあって、両立しようということになったようです。ジャズというと今だに偏見を持っているクラシックファンも多いですが、さすがにプロの演奏家には最近ではそういう人も少なくなってきているようです。

確かにその昔デキシーランドジャズやスイング時代の演奏家はクラシックの演奏家と比較したら技術的にも音楽的にもレベルの差は格段にありましたが、(デキシーランドジャズやスイングジャズが良くないと言っているのではありません)、現代のジャズ演奏家のトップクラスの人たちは素晴らしい音楽性と技術を持っています。また最近では日本の若手ジャズミュージシャンは特に著名ではなくてもプロとして活躍している人たちは皆高い音楽性と技術も持っています。
これは戦後日本が高度経済成長をして、音楽の道に進むにしても正規の音楽教育を受けられるようになったからだと思います。彼らは皆既存の西洋の古典と一応クラシックの音楽理論を身に付けたうえで新しい音楽に挑戦しているので、基礎がしっかりしています。

昔の1950年代の名手と言われるジャズベーシストなどでも、若干ピッチが甘いかなと感じる演奏もあります。でも今は普通に聴きに行けるジャズのライブハウスで演奏している若手ベーシストなどを聴いても、ものすごくピッチが正確です。これはあたりまえのことなんですが、基礎をしっかりと身に付けているからだと思います。

話が脱線してしまいましたが、これは以前書いた記事にありますが、海外のオケに入って活躍している日本人の演奏家が、たまたまキース・ジャレットの弾くバルトークのピアノ協奏曲を生で聴いて、あの難曲をあれだけ弾けるとはすごいと感嘆したということですが、これも一種の偏見ですよね。ジャズ・ピアニストにクラシックの難曲など弾けないだろう・・・・・という思いが、こういう発言になるのだと思います。まあ、キース・ジャレットやチック・コリアというピアニストは単にジャズピアニストという狭いジャンルでは括れない音楽家ともいえると思います。

逆にジャズ演奏家の方がこの辺はこだわりが無くて、気楽にクラシック曲も演奏しているのだと思います。チック・コリアにしてもそうですし、最近では日本のジャズピアニストの「小曽根真」さんも東京フィルとモーツァルトのピアノ協奏曲台27番を演奏して話題になりましたが、これからはどんどんこのジャンルの垣根という、ちょっと厄介なものを取り払って新しい音楽の試みもして欲しいと思います。

グルダの話から、またまただいぶ話が脱線してしまいましたが、グルダという人は、感性がクラシック音楽だけに飽き足らず、新しい音楽の試みに挑戦するという革新的な感性の持ち主であったということなんですね。管理人もいつも言っていますが、事、音楽に関しては貪欲な感性(笑)の持ち主なので、あらゆる音楽を聴いて楽しんでいますが、グルダも古い音楽から現代ものまでなんでも弾いちゃうというすごい人です。少し前にグルダの演奏会の様子を収録した別な動画を見ましたが、なんと「クラヴィコード」を弾いていました。しかも大きな演奏会場ではあの小さな音のクラヴィコードでは聴こえないので、自分でPAの音を調節したりして、この大胆でこだわりのないグルダの音楽に対する貪欲さにエールを送りたいと思います。残念ながらもう故人になってしまいましたが、グルダの音楽に対する姿勢を後進の音楽家も見習って欲しいものです。

つい先日ツイッターでも紹介しましたが、グルダのジャズピアノをレクチャーしている動画と、チック・コリアと共演している動画を貼り付けておきます。

こういう貴重な画像と演奏が見られる、このYouTubeというサイトを作った、Googleさんには感謝ですね。レクチャー版はドイツ語なのでよくわかりませんが、トニック、ドミナント、サブドミナントなどというのはちょっと聞きとれて、それを実際に弾いてみせるのでよくわかりますね。

チックとの共演のほうは途中でグルダがピアノを弾くのを止めてしまいますが、その後のチックのピアノがとても素晴らしい演奏です。音楽って本当に良いですね。3度の飯とどっちが好きかと問われても、まあ3度の飯には負けてしまいますが(^o^)音楽って人間の発明?(実は人間が発明したのではなく、すでにどこかに存在しているらしい物をこの物質世界に持ち込んだ(誰が?)という説もありますが、ちょっとこの話は当サイトの趣旨から逸脱してしまうのでこれ以上はノーカットです)したものの中でも特に素晴らしいものですね。

Chick Corea & Friedrich Gulda-2 Pianos Jazz Improvisation

今日も管理人の長文を最後まで読んでくれた方には感謝します!

チック・コリアとキース・ジャレットの弾くモーツァルト

最近ではジャンルを超えて、自分がメインでやっている音楽と
違う音楽をプレイする演奏家が増えています。

現代のジャズ界を代表する二人のピアニスト、チック・コリアと
キース・ジャレットもその先駆者と言えるでしょう。
この二人以外には本格的に演奏会などでマジにクラシックの曲を
演奏するピアニストはいなかったような気がします。

かのビル・エヴァンスなども大学ではクラシックピアノを学んでいて
ジャズの道に進むかクラシックの道に進むか悩むほどの腕前なので、
クラシックを弾かせても人前で演奏できるテクニックはあったと
思われますが、ビルは公のコンサートなどでクラシックを弾くことは
ありませんでした。ただ、プライベートではバッハや
モーツァルトはよく弾いていたようです。

チックもキースもなぜクラシックを本格的に演奏し始めたのかは
よくわかりませんが、彼ら自身の中で何かジャズだけでは自分の
音楽世界が表現できないと思ったのか・・・・・
まあ、多分弾きたくなっただけだと思いますが(~o~)
理由付けは後からいくらでも考えられます。
ジャズばかりやっていて、ふとクラシックもマジでやってみたら、
「お、これも中々良いじゃん」多分こんなノリなのではないかと思います。
(管理人の勝手な想像ですので記憶されませんように(~o~))

それで、これだけの演奏をしてしまうのですから、
彼らのピアノ演奏の技術も音楽性もすごいものだなぁ~と
改めて感心してしまいます。

以前、海外のオケに入って活躍している、日本人のある演奏家が、
たまたまキースの弾くバルトークのピアノ協奏曲を聴いたことがあって、
あの難曲をあれだけ弾けるとは、と感嘆したとのコメントを見たことが
ありますが、その言葉の裏には「ジャズピアニストにもあんなに弾ける人が
いるんだ」というある種の驚きがあって、ジャズピアニストに本格的な
クラシック曲が弾ける人などいないと思っている人も多くいるような
気がします。これはプロの演奏家の世界より、クラシック音楽偏重の
古いクラシックファンに多いのではないかと思います。

そんな垣根を破って、当たり前のようにクラシックを弾いてしまう、
チックとキースのおかげで、クラシックファンがジャズを
聴くようになったり、ジャズしか聴かないという人がクラシックも
聴いて楽しんでくれるようになれば、素晴らしいことだと思います。
楽しめるものはたくさんあったほうが良いですもんね。

では、さっそくチックとキースの演奏を、
なんとうまい具合に二人の競演ライブ
がありました。

曲はモーツァルトの
【2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K365】から第3楽章です。
オケは東京フィルハーモニーです。明るく軽妙なこの曲をすごく
楽しそうに演奏していますね。貴重なリハーサルの映像も入っています。

(余談ですが、キースがバッハのプレリュードとフーガを弾いている
動画を見ましたが、クラシックではキースはあまりうなり声を
出さないみたいで管理人は良いなぁ~・・・?と思います)

新聞で知った情報ですが、ニューヨークに居を構え
世界的にご活躍されているジャズピアニストの「小曽根真」さんが、
この7月の5日と6日にやはり東京フィルハーモニーと競演、
モーツァルトのピアノ協奏曲第27番を演奏されるそうです。
27番のコンチェルトはモーツァルトのピアノ協奏曲の中では
音楽的にもテクニック的にもなかなかの難曲、聴きには行けませんが、
どのような演奏をされるのか楽しみですね。